ねずみとへび 1
あるところにどぶねずみがいました。
どぶねずみはその名前通り、どぶに住んでいます。マンホールの梯子を降りていって、下りていって、すこし歩けばどぶねずみの住処です。
ああ、どぶねずみに挨拶しようとマンホールを開けてはいけませんよ。
地下の世界はなんだか嫌な臭いがしていますから、いつもマンホールで閉じているのです。それに、突然光が入ったら目が痛くなって、潰れてしまいます。
相手のことを慮ることが大切です。
え?どうしてどぶねずみはそんなところに住んでいるのかって、そりゃあそんなところを気に入っていたからです。
どぶねずみは暗いところが好きで、だからそこにいるのでした。
暗いところに寄り付くのは自分の仲間か、自分と似たやつか、もうどうしようもないなにかだけですので、気を遣う心配がありません。
好きなようにして、好きなように落ちて、落ち着いたどぶねずみは特に何も悩まず過ごしていました。
ある日のことです。
白い何かがどぶねずみの目を覆いました。何も見えなくなって驚いたどぶねずみは、よろよろと汚水に顔を突っ込みました。泥より黒い水で白さを薄めたのです。
白いのが何だったのか確認しようとしたどぶねずみは驚きました。
それは光だったのです。
そう、先ほどの忠告を無視してマンホールを開けたばかものがいたのです。
どぶねずみはあまりの眩しさに戸惑いながら、目が潰れないよう下を向きました。すると、まだ白いものが目に入ります。
へびです。
しろいへびが、ぐったりとどぶねずみの足元に転がっていました。
寝なきゃならん、続きはまた今度
へーかだったよ。