疲れたので夢小説を書いた
私の名前は 就場 希(つくば のぞみ)。
ごく普通の就活生。
説明会やセミナー、インターンとかで大忙しな上に、最近は交通費とストッキングにばっかお金を使っちゃってる気がする。
今日も合説か~。
ガタンガタン……。
?「おい、お前」
?誰?
会場に入った瞬間声をかけられる。
振り向くと、かっちりとしたスーツの似合うイケメンがいた。
?「お前、就活生だろ」
希「なんでわかったんですか?」
?「ハハッ、その全身黒スーツとフレッシュフレッシュ言われてる割には疲れきってる顔見りゃ誰でもわかるぜ」
なんなんだこいつ。開口一番失礼じゃないか。
希「すみませんけど……私行くところがあるので!」
カツリと攻撃的に踵を鳴らしすり抜けようとしたけど、逃さないと言わんばかりに男は一歩横にずれて妨害してくる。
?「どうせセミナー受けたら貰えるノート目当てだろ?俺の話を聞いた方が万倍ためになると思うけどな」
希「さっきからなんなんですか!貴方のことなんか知りません!どいてください!」
私がそう叫んだ瞬間、ざわめいていた会場が一気に静まり返る。
なに?
?「!……お前、俺を知らねえとは……」
男がそう呟いた瞬間、止まった時間が動き出したように周囲の声が大きく波打ちだした。
「あの方を知らないなんて……」
「アイツ合説初めてなんじゃないのか?」
「キーッ!侮辱だわ!あの方は……いい会社の採用担当様なのに!」
えっ!?採用担当!?
驚いて胸元をみると確かに採用なんたらと書いている。
採用担当「はぁ……やっと気づいたか(ニヤ」
希「……!だ、だからなんだっていうんですか!採用担当だからって、私の行く方向まで決められる訳じゃないんですからね!」
採用担当「ふーん、素性を知ってもその態度とは、なかなか興味深い人材じゃねえか。就場っていうのか……気に入った!就場!俺のセミナーを受けろ!」
希「は、はぁ!?……嫌です!」
驚いたままのテンションで否定すると、なにが面白かったのか採用担当は手を額に当てて大爆笑し始めた。
他の就活生達も困惑している。
はぁ……。
?「もうその辺にしませんか、A社さん」
いつの間にか後ろから出てきたその人は、自分の影で覆うように私を隠してそう言った。
採用担当A「お前はB社のやつか。悪いがコイツは今からうちの会社の事業内容を覚えてもらうんだ」
採用担当B「興味のない会社の説明を聞いたところで、就活生さんの時間を無駄にしているだけです。さあ、行ってください」
希「……!ありがとうございます」
私は45度でお辞儀をして目当てのセミナー会場へ向かっていった。
B社……って言ってたっけ……。いい人そうだったな……。それに比べてあのA社の採用担当!強引すぎない!?私なんか行かなくても会場のパイプ椅子満席だったし!
はぁ……これから私、どうなっちゃうのかな……。
*
A「やってくれるじゃねーか、あれでアイツからの印象をよくしようとしたわけか?」
B「そんなわけないじゃないですか。ただ純粋な、人助けですよ。うちはアットホームさがウリなんです。(暗黒微笑)」
A「よくいうぜ……言っとくが、有給取得率はうちの方がいいからな」
B「グループ傘下なのをいいことに随分と好き勝手しているとお聞きしましたが?」
A「はっ、一部上場企業になってから言うんだな」
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