斜め上から目線

アウトプットが大切なんですって奥さん

企画

9

9 田ノ中「これは······ああ、確かに。わからないな」 田ノ中さんはキッチンに明かりを向けたまま、なぜか申し訳なさそうな顔をして呟いた。 みつけ「田ノ中さん、何か見つけたんですか?」田ノ中「こっちへ来ればわかるよ。いやわからないのかな。みつけち…

8.5

みつけ「これ......全部ゴミ袋ですか?」田ノ中「ああ。こっちはキッチンみたいなのだけれども、どうにもこいつらが邪魔でね。重ねて置いてあるものだから......。ちょっと手伝ってよ、俺の懐中電灯持ってて」みつけ「わかりました」 少し離れ、二つの光で満…

7

まずは手近、かつあまり怖くなさそうなところから攻めるべきではないだろうか。 みつけ「リビングなんてどうでしょう」 田ノ中「............」 おや? 田ノ中さんは少し驚いたようにこちらを見つめている。 みつけ「あの......」 田ノ中「ああ、うん。ええ…

6

なにはともあれ周囲をチェックだ。開かれた扉の奥には暗闇が広がっている。密室だったためかむっと重く熱い空気が少しずつ流れ込んできて、非常に気持ち悪い。扉のガラスには蜘蛛の巣が張っており、ここが人を出迎える場所ではなくなっていたことがよくわか…

5

これまでのあらすじ糸口探偵社で事務員バイトをしている照島みつけはひょんなことから胡散臭い探偵·田ノ中今真と共に空き家での奇妙な相談を聞くことに。七夕近くから一ヶ月近く続く謎の音。依頼人·伊沢凪の不安げな表情に、みつけは同情の念を覚えるのだっ…

4.5

私は気になって、更に問いを重ねた。みつけ「もう七夕から一ヶ月ほどですけど......ずっと音は鳴っているんですか?」伊沢「大学があるので日中がどうかわかりませんが、夜は時々。人の声と、階段を昇り降りする音がたまにしていて。でも、そういうときはさ…

3

私は迷って、田ノ中さんの目を見た。察して......!後で怒られるのは私と貴方なんですよ......!そのへらへら胡散臭い笑みを今すぐやめて、依頼人を説得するか流石さんを説得するかしてくださいよ......! 田ノ中「なあに、みつけちゃん?俺の権力は流石さん…

2

私は一階にある受付に向かうため、階段をくだった。 執務室は四階にあるので軽い運動になる。 エレベーター?ないよそんなもの。 一階は受付と自販機だけ。 二階は応接間。何個もあるけど全部が埋まっているところは見たことがない。 三階は探偵たちのテリト…

1

私の名前は照島みつけ(てらしま みつけ)。 普通の大学生だ。 平成最後の夏だというのに、普通の大学生なものだから普通にテストを受けて普通に遊んで普通にバイトを励んでいる。 だというのに、何故こんなプロローグじみた物言いで1人メモ帳に向き合ってい…